不遇の時こそ
今の社屋を建てて引っ越してから、やがて3年と8ヶ月になる。
この間、世間的な大きな出来事としては「リーマンショック」「東日本大震災」、社内では、仕事の減少、経営状態の悪化、幹部をはじめとする社員の退職など、仕事的には調子がいいという期間ではなかった。
ここに移転する前の4年間はどうだったかというと、毎年数台のトラック増車、年間6000万円から1億円くらいの売上高増、利益も順調に伸びていた。
かなり調子に乗っての移転だった。
最近思うのだが、この約4年間というのは今から数年後の未来から見た時にはむちゃくちゃ必要な期間なんだと思う。
もし、あのまま順調に会社が伸びていたとしたら、今頃は、傲慢で自分勝手なとんでもなく嫌な奴になっていたと思う。
でも、その前もそんなことに気づいていない訳ではなかった。
もっとさかのぼって、9年くらい前も散々どん底を味わい、人の気持ちや人生について十分わかったつもりでいたはずだったのに。 周りの出来事や実際に起こる現象が前向きに進んでいる、つまり、右肩上がりという状態の時には、気持ちも自然と前向きになるが、それ以上に前のめりになるくらい前しか見えなくなる。多少の不具合やズレなどは気にせず、ドンドン前に進んでいく。
ところが、いくら気持ちが前向きでも、起こる現象などがあまりよくないこと、うまく進まなくなってくると、前には進めなくなっていく。自然と後ろを振り返ったり、足元を眺めてみたりと、確認することが多くなってくる。
すると今まで見えていなかった物事や現象に気づくようになり、それが人に幅と深さを与えてくれる。
この数年、特にこの1年というものは、随分色んなことに気づかされた。本当に大切なこと、絶対守らなければいけないことや人達、何があっても決して曲げてはいけない信念、自分の中に幅と深さを与えてもらった。
多分、一生こんなことの繰り返しなんだろう。
でも不遇の時こそ自分を磨く絶好のチャンスだということを心に刻みつけたいと思う。